§1〔石油タンク塗膜剥離〕
老朽化が進む石油タンク底板の腐食や亀裂による災害を防止するため消防法による定期的な開放検査があります。タンクリーンはこの法定検査の前作業として底板溶接部の塗装を剥がすものです。3K 作業である従来のブラスト工法に 代えて超高圧水を応用するロボット工法です。
性能
塗膜の完全剥離
剥離面が乾燥、発錆しない
塗膜の付着力は従来の3倍
環境
自然環境を守る
作業環境が良好
ブラスト材:産廃なし
工期
従来工法の約1/3
安全性
ロボット工法で安全
1.システムの概要
(1)タンク内にマンホールから高圧水ロボットを搬入し、タンク外(路肩)に設置する超高圧水ポンプ(300MPa)からロボットに送水(30ℓ/min)する。ロボットは高速で回転する複数のダイヤモンドノズルからその水を約600m/sの超高速で噴出させ塗膜を洗浄剥離する。
(2)剥離面
・ロボットはPSD制御で正確。強固な溶接線ビードの塗膜も取り残さない。
・クローズドシステムでロボットからは全く水漏れしない、また、日数が経過しても発錆しない。
・剥離面は清潔でアンカーパターンを保持し再塗装塗膜の接着力が他のブラスト工法より強力である。(3倍)
・水ブラストは剥離面からの火花の発生はなく素材のプロファイル(断面形状)を損傷しない。
(3)汚水処理
・剥離した塗膜粉(スラッジ)の混合水はロボットよりホースを介してタンク外の吸引分離機(-96KPa)のタンクに貯留される。タンクには、沪過筒(ネトロンパイプ)を内蔵し塗膜粉と水を分離して貯留する。また沪過筒がスラッジで埋もれてくるとスラッジが沪材の役目をし、さらに分離能力が向上する。沪過筒を通過した汚水は外部へ排出される。
・連続運転中の吸引機内は真空のため、沪過された汚水を直接外部に取り出すことができない。そのため吸引機と外部との間に中間タンクを設け、吸引機➝中間タンク、中間タンク➝外部(沈澱槽)と交互に圧力を連通させて汚水を排出する。排出した汚水は仮設の沈澱槽に一時貯留し、この作業を自動制御する。
・この沈澱槽は複数として交互に使用し、汚水中の汚れ(スラッジ)を沈澱させる。沈澱物は再び吸引分離機に吸引させ、上水(うわみず)は処理水槽に供給する。処理水槽の水は更に浄水装置を通り清水となる。
(4)清水の水質
浄水装置出口測定値
測定項目 |
プラントの排水基準 |
浄水装置出口測定値 |
---|---|---|
水素イオン(pH) | 5.8以上8.6以下 | 8.51 |
化学的酸素要求量(COD) | 20mg/ℓ以下 | 8.4mg/ℓ |
浮遊物質量(SS) | 20mg/ℓ以下 | 10mg/ℓ |
ノルマルヘキサン抽出物質含有量(鉱油類含有量) | 2mg/ℓ以下 | 0.5mg/ℓ |
フッ素含有量 | 15mg/ℓ以下 | 0.5mg/ℓ |
(客先発電所測定)
下表に凝集沈澱テスト例を示します。
「水性ボンド洗浄排水処理水」分析結果報告書 徳島県㈱アクト21.10.2
㏗ |
COD |
SS |
ノルマルヘキサン(鉱油類) |
フッ素 |
7.2 |
370mg/ℓ |
2.0mg/ℓ |
<1mg/ℓ |
<0.2mg/ℓ |
分析機関:社団法人徳島県環境技術センター計量証明事務所
・塗膜処理
吸引タンク内のスラッジは剥離作業終了後ドラム缶またはフレコンバッグに収集する。
2.主要機器